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2012年12月15日土曜日

「ラ・グルヌイエール」印象主義の萌芽

ラ・グルヌイエール (La Grenouillere)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×989, 569 KB) ※ 2013/02/06 更新

クロード・モネ 1869年
W 134
キャンバスに油彩 75 x 100 cm
メトロポリタン美術館 ニューヨーク


ラ・グルヌイエールは、セーヌ川沿いにあるパリ近郊のリゾート地です。グルヌイエールというは「蛙がいるような水溜り」という意味だそうです。

1869年夏、モネはブージヴァルで制作し、近隣の小さな部落サン=ミシェルの農家で生活していました。同時期、ルノアールはこのサン=ミシェルの隣のルーヴジェンヌに両親と共に暮らしていました。

1869年9月、モネは仲間のバジールにあてた手紙の中で、ルノワールとともにラ・グルヌイエールで水浴する人々を描く予定であると書いています。現地に行く以前からいろいろな構想を練って制作に臨んでいたと予想できます。

本作は将来、印象派を代表する画家となる二人が、同じ場所に画架を並べて、ほぼ同じ構図で絵を描いるため、二人の画家を比較検討する絶好の資料となっています。

画題には「ラ・グルヌイエール」という、一般市民の行楽地を選び、これまであまり描かれてこなかった現代生活を主題としています。また、二人は筆触分割という絵の具を混ぜないで使用する新しい技法を、波打つ水面に反射する光を表現するのに積極的に用いています。

モネは、人物を大まかに描き、風景の一部としてとらえ、背景の森林などは簡素に描き、水面の光の反射の効果を最大限に引き出しています。

また、本作は「印象主義」の萌芽を予感させる重要な作品として位置づけられています。


ラ・グルヌイエール (La Grenouillere)

Lサイズ(1280×1032, 416 KB)  オリジナル(3235×2609, 2813 KB)

ピエール=オーギュスト・ルノワール 1869年
キャンバスに油彩 81 x 66 cm
スウェーデン国立美術館 ストックホルム

ルノアールは、全体的に繊細なタッチ描かれていて、人物の描写に比重が置かれ、紳士淑女が談笑する声が聞こえてきそうなくらいです。


既に二人の画家の将来の方向性が伺え、とても興味深いです。二人はよく、ラ・グルヌイエールで作品を制作していたようで、似たような構図の作品がもう一対あるので下記に紹介します。


ラ・グルヌイエールの水浴 (Les Bains de la Grenouillere)

オリジナル(1947×1558, 437 KB)

クロード・モネ 1869年
W 135
キャンバスに油彩 73 x 92 cm
ナショナル・ギャラリー ロンドン

ラ・グルヌイエール (La Grenouillere)

オリジナル(1024×720, 337 KB)

ピエール=オーギュスト・ルノワール 1869年
キャンバスに油彩 65 x 92 cm
オスカー・ラインハルト財団 ヴィンタートゥール


最後に、モネが同じ夏にラ・グルヌイエールで描いた思われる2作品を紹介します。


小舟 (Barques)

     クロード・モネ 1869年
     W 137
     キャンバスに油彩 33 x 46 cm
     ブレーメン美術館
      

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×940, 297 KB)


桟橋 (L'Embarcadere)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×975, 455 KB)

クロード・モネ 1869年
W 138
キャンバスに油彩 54 x 74 cm
個人収蔵


裏地がピンクの日傘の裏地が印象的で、当時大人気だった行楽地の優雅な雰囲気が伝わってきます。