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2013年4月3日水曜日

「サン・ラザール駅の連作」最初の連作 Ⅰ

サン・ラザール駅 (La Gare Saint-Lazare)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×989, 1361 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1877年
W 438
キャンバスに油彩 75 x 100 cm
オルセー美術館 パリ


本作は、蒸気機関車による駅の構内を充満する黒煙と水蒸気にガラスの天井から降り注ぐ光が屈折、反射する事により生まれる多彩な幻想的な雰囲気、構内を行き交う人々の喧騒を、当時としては前衛的な手法での表現を試みた意欲作です。

サン・ラザール駅は1837年に開業したフランス初のターミナル駅です。この駅舎はフランスの技術者ウジェーヌ・フラシャによって設計され、当時の最先端の建築素材であった鉄骨とガラスで構築された屋根が特徴的でした。

当時の人々のとって、サン・ラザール駅は「近代化の象徴」として受け止められ、先進的な印象派の画家たちはこの駅舎をそれぞれの特異な感性で絵のモチーフとしています。


Gare de Saint Lazare: 出典 www.flickr.com by francisco.j.gonzalez


この連作の作成にあたって、モネは公式に許可を取っています。駅長との交渉では一張羅を着込み、当時、画家が政財界の有力者と肖像画の依頼などを通じて関係が深かった既成事実を利用し、あたかもサロンの重鎮であるかのような態度で駅長と接し、まんまと駅舎の絵を描く許可を勝ち取ってしまいます。

当時の実際のモネはといえば、サロンでは落選続きで、サロンへの不満を共有する同志と1874年に開いた第一回印象派展では一部の批評家から散々叩かれるなど、画家としての名声など皆無に等しい状態でした。

駅長はモネの策略にはまり、モネだけのために汽車を予定外の場所に停車させホームまで遮断し、モネの願いに応じて構内を蒸気で充満させるために必要以上に石炭を燃やさせるなど、モネの言いなりです。モネの演技がうまかったのか、駅長が小心者だったのか?

この逸話を後世に伝えたのは、後に映画監督として名を馳せるルノワールの次男ジャンで、以上のような話を友人ルノアールに語ったそうです。


サン·ラザール駅、列車の到着 (La gare Saint-Lazare, arrivée d'un train)

出典 www.flickr.com オリジナル(1024×838, 227 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1877年
W 439
キャンバスに油彩 82 x 101 cm
ハーバード大学美術館 ケンブリッジ


サン·ラザール駅、ノルマンディーの汽車 (La Gare Saint-Lazare, le train de Normandie)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×975, 373 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1877年
W 440
キャンバスに油彩 59 x 80 cm
シカゴ美術館


サン·ラザール駅 (La Gare Saint-Lazare)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×949, 454 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1877年
W 441
キャンバスに油彩 53 x 72 cm
ナショナル・ギャラリー ロンドン


「サン・ラザール駅の連作」 Ⅱに続きます。