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2013年3月31日日曜日

モンソー公園を描いた作品群(1876-1878年)


モンソー公園 (Le Parc Monceau)

出典 www.flickr.com Lサイズ(938×1280, 424 KB) オリジナル(1320×1801, 2372 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1878年
W 466
キャンバスに油彩 73 x 54 cm
メトロポリタン美術館 ニューヨーク


モンソー公園はパリの凱旋門近くにある公園です。1776年、シャルトル侯爵によって庭園が造られたのが始まりで、現在はパリ市民の憩いの場となっています。


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出典 www.flickr.com オリジナル(1024×683, 615 KB)


モンソー公園 (Le Parc Monceau)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1876年
W 398
キャンバスに油彩 60 x 81 cm
メトロポリタン美術館 ニューヨーク


赤い花の咲く木はマロニエ(セイヨウトチノキ)と思われます。


detail

出典 www.flickr.com Lサイズ(1280×853, 455 KB) オリジナル(3264×2176, 2874 KB)


モンソー公園 (Le Parc Monceau)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×1080, 553 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1876年
W 399
キャンバスに油彩 59 x 73 cm
個人収蔵


モンソー公園 (Le Parc Monceau)

     クロード・モネ 1876年
     W 400
     キャンバスに油彩 54 x 73 cm
     個人収蔵


出典 www.flickr.com オリジナル(1320×984, 432 KB)

解像度: ★☆☆☆☆ おすすめ度: ★☆☆☆☆


モンソー公園にて (Au Parc Monceau)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1872年
W 219
キャンバスに油彩 47 x 75 cm
ボストン美術館


モンソー公園 (Le Parc Monceau)

出典 www.flickr.com オリジナル(975×838, 683 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1878年
W 468
キャンバスに油彩 54 x 65 cm
個人収蔵

2013年3月30日土曜日

パリの風景画(都市景観)


テュイルリー、スケッチ (Les Tuileries, esquisse)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×867, 391 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1876年
W 403
キャンバスに油彩 50 x 74 cm
オルセー美術館 パリ


本作はパリのテュイルリー公園を描いたスケッチです。この絵は今回、モネのカタログ・レゾネを制作する際に出会った作品の中で一番衝撃を受けた作品です。

私には、1876年(36歳)に描かれたスケッチですが、 葉模様の表現に用いられている渦巻きなど、自由かつ大胆な筆致や色彩感覚などが最晩年(80-86歳)に描かれたオランジュリーの「睡蓮の大壁画」と瓜二つに見えます。

私はモネの絵が大好きなだけで、絵画に関しては全くの素人なので、絵の解説をすること自体がおこがましいことなのですが、36歳の時に描いたこのスケッチ画と最晩年の作品がとても似ているように見え、絵画というものの奥深さを感じます。


ルーブルの河岸通り (Le Quai du Louvre)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×898, 425 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1867年
W 83
キャンバスに油彩 65 x 92 cm
デン・ハーグ市美術館


サン=ジェルマン=ロークセロワ教会 (Saint-Germain l'Auxerrois)

出典 www.flickr.com  Lサイズ(1280×1023, 337 KB) オリジナル(2500×1998, 1067 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1867年
W 84
キャンバスに油彩 79 x 98 cm
ナショナル・ギャラリー ベルリン

本作はルーブル美術館内の窓から見た、サン=ジェルマン=ロークセロワ教会を描いています。

モネは当時、仲間達と共にルーブル美術館に名画の模写の許可を取って通っていたようです。証拠の台帳も残っていますが、モネが模写をした形跡は残っていません。彼は名画には目もくれず、外の景色を描いていたというのですから、相当な変わり者だったようです。


王女の庭園 (Le Jardin de l'infante)

出典 www.flickr.com Lサイズ(856×1280, 281 KB) オリジナル(1320×1974, 726 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1867年
W 85
キャンバスに油彩 91 x 62 cm
オバーリン大学アレン記念美術館


パリのポンヌフ (Le Pont-Neuf à Paris)

出典 www.flickr.com オリジナル(913×645, 228 KB)

解像度: ★★☆☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1871-1872年
W 193
キャンバスに油彩 53 x 73 cm
ダラス美術館


テュイルリー (Les Tuileries)

出典 www.flickr.com Lサイズ(1280×924, 440 KB) オリジナル(5000×3609, 5845 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1876年
W 401
キャンバスに油彩 54 x 73 cm
マルモッタン美術館 パリ


テュイルリー公園 (Le Jardin des Tuileries)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×948, 403 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1872年
W 402
キャンバスに油彩 60 x 80 cm
個人収蔵

2013年3月25日月曜日

「サン=ドニ街、1878年6月30日の祝日」


サン=ドニ街、1878年6月30日の祝日 (La Rue Saint-Denis, fête du 30 juin 1878)

出典 www.flickr.com Lサイズ(921×1280, 378 KB) オリジナル(1300×1807, 828 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1878年
W 470
キャンバスに油彩 76 x 52 cm
ルーアン美術館


本作は1878年6月30日、3回目のパリ万博の成功を記念に催された祝祭の喧騒が描かれています。

ナポレオン3世による第二帝政は普仏戦争での敗北をもって終焉し、パリ・コミューンの蜂起の後、街の中で市民が集まることが禁止されていたため、久々に行われた、この祭りは大いに盛り上がりました。

三色旗はパリ市の呼びかけによって市民が窓辺に掲げたものですが、モネ独特の大胆な躍動的な筆致で描かれた揺らめく三色旗は、市民の熱狂ぶりを代弁しているようです。

画面中央右の三色旗の白い部分には「VIVE LA FLANCE(フランス万歳)」と記されています。この祝祭で、新たにフランス国民としての矜持が彼らに再燃したと推測されます。

フランスの国旗は「トリコロール(三色旗)」と呼ばれ、三色はフランス革命の精神である「自由、平等、博愛」を表しています。

モネはこの光景をもう一ヶ所で描いているので下記に示します。どちらも労働者階級が住む街で、パリの中央市場があったマレ地区のモントルグイユ街を建物の上から、通りの北方向を描いたものです。


モントルグイユ街、1878年6月30日の祝日 (La Rue Montorgueil, fête du 30 juin 1878)

出典 www.flickr.com Lサイズ(778×1280, 354 KB) オリジナル(1320×2172, 1113 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1878年
W 469
キャンバスに油彩 80 x 48 cm
オルセー美術館 パリ

2013年3月23日土曜日

「キャプシーヌ大通り」 近代的都市風景


キャプシーヌ大通り (Le Boulevard des Capucines)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★★★ 

クロード・モネ 1873年
W 292
キャンバスに油彩 61 x 80 cm
プーシキン美術館 モスクワ


ナポレオン3世によるパリの大改造によって生まれ変わろうとしているパリの都市景観を「現代性」をテーマに描かれた作品です。

本作はパリのオペラ座付近のキャプシーヌ通りを写真家ナダールのアトリエから俯瞰するという、当時としては斬新な構図で描かれています。

モネとナダールは画家と写真家という立場上、写真技術の普及で職を失う画家が続出する時代背景を考えると、対立関係にあってもおかしかくありませんが、親交があり、「第一回印象派展」もこのアトリエで開かれるほどでした。

気球の操作技術にも通じていたナダールは、パリで世界初の気球による空中撮影を行った人物でもあります。モネがこの俯瞰写真から何らかのインスピレーションを受けて本作を制作した可能性は十分考えられます。

画面右端には同じ建物の同じ階のバルコニー身を乗り出して大通りの様子を傍観する帽子を被った二人の紳士が描かれており、この絵を鑑賞するものが実際にその場に居るような錯覚を起こさせます。

また、画面左側の陽光に照らされ黄金色に輝く建物と並木と、右側の通りを行き交う人々の黒色との対比が作品の魅力を増幅させています。

「印象、日の出」を酷評したルイ・ルロワは本作に対しても、通りを行き交う人々を「無数の黒い涎」と揶揄していますし、また、ある批評家は「驚くべき習作あり、運動の瞬間なるものを描いた。」としながらも、「間近で見ると判読できない絵の具の削りかすの混沌だけが残る。」と、称賛とも批判とも取れる感想を述べています。

しかし、第一回印象派展は全体としては失敗という結果に終わりますが、この展示会を契機に時代は動き、ブルジョワ階級の台頭という時代背景も味方し、徐々に印象派の画家達は世間に認められるようになっていきます。

モネは、もう一つ、同時期に同じ作品名の縦長の作品を残しているので下記に示します。研究者によっては、こちらを第一回印象派展出品作と考えている人も居ます。


キャプシーヌ大通り (Le Boulevard des Capucines)

出典 www.flickr.com Lサイズ(950×1280, 293 KB) オリジナル(1320×1778, 570 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1873年
W 293
キャンバスに油彩 80 x 60 cm
ネルソン・アトキンス美術館 カンザスシティ

また、ピサロも同じような俯瞰の近代的都市風景画の連作を1897年にホテル・ドゥ・ルーヴルの一室を数ヶ月間貸し切って、15作品残しています。

その中から、上記の縦長の作品と雰囲気がよく似た作品で私のお気に入りの作品があるので、下記に示します。


モンマルトル大通り、冬の朝 (Boulevard Montmartre Winter Morning)

Lサイズ (1280×925, 442 KB) オリジナル(3943×2848, 3080 KB)

カミーユ・ピサロ 1897年
キャンバスに油彩 65 x 81 cm
メトロポリタン美術館 ニューヨーク


2013年3月14日木曜日

ル・アーヴルの風景画(港の賑わい)


ル・アーヴルの旧外港の風景 (Vue de l'ancien avant-port du Havre)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1874年
W 297
キャンバスに油彩 60 x 102 cm
フィラデルフィア美術館


現在、ル・アーヴルはセーヌ川河口の工業都市である一方、リゾート都市でもあります。モネがこの地で「印象、日の出」を描いたことから、印象派発祥の地としても有名です。

第二次世界大戦で戦火に巻き込まれ一旦は焦土と化しましたが、鉄筋コンクリートを活用した近代的な都市へと生まれ変わり、戦後の建築物にも関わらず世界遺産に登録されています。


Le Havre. 出典 www.flickr.com by Louise Lemettais


ル・アーヴルの突堤 (La Jetée du Havre)

Lサイズ(1280×842, 264 KB) オリジナル(1600×1053, 429 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1868年
W 109
キャンバスに油彩 147 x 226 cm
フィラデルフィア美術館


船の習作 (Etude de bateaux)

オリジナル(1244×1024, 287 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1873年
W 259
キャンバスに油彩 50 x 60 cm
ボストン美術館


修理中の船舶 (Navires en réparation)

出典 www.flickr.com Lサイズ(972×1280, 394 KB) オリジナル(1320×1739, 763 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1873年
W 260
キャンバスに油彩 71 x 53 cm
国立スコットランド美術館 エジンバラ


ル・アーヴルの美術館 (Le Musée du Havre)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1873年
W 261
キャンバスに油彩 75 x 100 cm
ナショナル・ギャラリー ロンドン


ル・アーヴルの港、夜の効果 (Le Port du Havre, effet de nuit)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×984, 469 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1873年
W 264
キャンバスに油彩 60 x 81 cm
マルモッタン美術館 パリ


貿易のドック、ル・アーヴル (Le Bassin du commerce, Le Havre)

出典 www.flickr.com Lサイズ(1280×1095, 340 KB) オリジナル(2500×2139, 1041 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1874年
W 294
キャンバスに油彩 37 x 45 cm
リエージュ近代美術館


ル・アーヴルの大きい波止場 (Le Grand Quai au Havre)

出典 www.flickr.com オリジナル(1471×1113, 1610 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆ 

クロード・モネ 1874年
W 295
キャンバスに油彩 61 x 81 cm
エルミタージュ美術​​館 サンクトペテルブルク


ル・アーヴル、出港する漁船団 (Le Havre, bateaux de pêche sortant du port)

オリジナル(1280×775, 346 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1874年
W 296
キャンバスに油彩 60 x 101 cm
ロスアンゼルス・ カウンティ美術館

本作は1874年1月、モネがル・アーヴルに訪れた際、オテル・ラミローテというホテルに泊まり、そのホテルの自室からの眺望を描いた作品です。当時のル・アーヴルの賑わいが伝わってきそうです。

2013年3月13日水曜日

「睡蓮の連作」 晩年期 Ⅺ


私のミスで「睡蓮の連作」 晩年期 のシリーズで抜け落ちていた部分を追加します。

睡蓮 (Nymphéas)

Lサイズ (1279×1280, 381 KB) オリジナル (1772×1774, 2066 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1914-1917年
W 1811
キャンバスに油彩 200 x 200 cm
マルモッタン美術館


モネは1910年代初頭から1914年頃まで、妻アリスの逝去、視力の衰え等の不幸が重なったため、ジヴェルニーに籠りがちになり、殆ど制作活動を行いませんでした。本作は友人クレマンソーの励ましもあって、再び制作を再開した頃の作品です。

大胆な緑色の配色の展開や、画面左上の紫色との対角線上における色彩の対比は、あまたの睡蓮の作品群の中でも、異彩を放っていて、完成度の高い作品です。


睡蓮 (Nymphéas)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×1117, 374 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1914-1917年
W 1808
キャンバスに油彩 180 x 200
個人収蔵


睡蓮 (Nymphéas)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×1142, 454 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1914-1917年
W 1809
キャンバスに油彩 135 x 145 cm
個人収蔵


睡蓮 (Nymphéas)

オリジナル (1131×1024, KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1914-1917年
W 1810
キャンバスに油彩 180 x 200 cm
個人収蔵


睡蓮 (Nymphéas)

     クロード・モネ 1914-1917年
     W 1812
     キャンバスに油彩 200 x 200 cm
     個人収蔵


出典 www.flickr.com オリジナル(1000×988, 207 KB)


睡蓮 (Nymphéas)

     クロード・モネ 1914-1917年
     W 1814
     キャンバスに油彩 150 x 200 cm
     バイエラー・ギャラリー バーゼル


出典 www.flickr.com Lサイズ(1280×968, 400 KB)


睡蓮 (Nymphéas)

出典 www.flickr.com Lサイズ(1280×1118, 379 KB) オリジナル(2048×1789, 1023 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1914-1917年
W 1815
キャンバスに油彩 180 x 200 cm
バルラフリヒャルツ美術館 ケルン


睡蓮 (Nymphéas )

オリジナル (1118×1024, 297 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1914-1917年
W 1816
キャンバスに油彩 180 x 200 cm
マルモッタン美術館 パリ


睡蓮、ハーブのブーケ (Nymphéas, bouquet d'herbes)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×1241, 505 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1914-1917年
W 1817
キャンバスに油彩 200 x 213 cm
地中美術館 直島


アガパンサス (Les Agapanthes)

Lサイズ(958×1280, 353 KB) オリジナル(1320×1764, 739 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1914-1917年
W 1820
キャンバスに油彩 200 x 150 cm
マルモッタン美術館 パリ

2013年3月12日火曜日

「印象、日の出」 印象派の名の由来


印象、日の出 (Impression, soleil levant)

www.flickr.com オリジナル (1280×1041, 209 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1873年
W 263
キャンバスに油彩 48 x 63 cm
マルモッタン美術館 パリ


1872年作と日付が書かれていますが、1873年に描かれた作品です。モネは後に、この作品の題 名について、「カタログに載せるために題名をつけてほしいといわれたが、これに『ルアーブルの眺」』という題をつけることはできなかっ た。そこで『印象』としてほしいと言った。」と説明しています。

印象派の名の由来となった、モネの傑作の一つで、印象派の象徴とも言える作品です。 朝もや中、ル・アーヴル港に太陽が登る幻想的な風景が大胆な筆致で描かれています。

画面中央下から左斜め上方向に描かれている、海上を移ろう3艘の小舟のシルエットの濃淡が作品に奥行きを与え、斜め方向に一直線んに並んだ小舟と太陽からなる三角形が印象的です。

太陽の海面への反射や波は、筆触分割の技法で描かれ、遠景には、工場の煙突や帆船、クレーンなどが素早い大胆な筆致で大気に溶けこむように描かれています。

当時の主流であった写実的なアトリエでじっくり時間をかけて描かれた作品とは対極をなす、即興的で、その景色を見た瞬間の印象を写し撮ったかのような作品です。

1985年、「マルモッタン美術館絵画強奪事件」で、この絵は盗難に遭いますが、5年後、コルシカ島で無事発見されました。

<第一回印象派展 >


印象派という名称は本人たちが名乗ったものではありません。出品されたモネの「印象、日の出」を見た批評家ルイ・ ルロワが、風刺新聞シャリ ヴァリ誌に「印象主義者(仏語でアンプレッショニスト)の展覧会」というタイトルで、会話調の次のような酷評を載せました。

「印象?確かに私もそう思った。私も印象を受けたんだから。つまり、その印象が描かれているというわけだ。だが、なんというでたらめ、なんといういいかげんさだ!この海の絵よりもまだ、作りかけの壁紙の方がましだ。」

このルイ・ルロワの批評が書かれるまで、「アンプレッショニスト」という言葉は、美術のジャンルや人々を指す言葉としては用いられおらず、 このルイ ・ルロワの「印象、日の出」の『印象』のフレーズを転用しタイトルにした記事が、モネやルノワール等のグループを『印象派』と呼ぶ要因になりました。

「印象、日の出」は、おそらく展示された作品の中でも、最も非アカデミックな絵だったと思われますが,この展覧会そのものに関しては、それほどひどい非難があったわけではないことが最近分かってきました。

フランスがプロシアとの戦争に負けて、国中が戦債を償っている非常時に、サロンのように税金を使うのではなく、「自分たちの資金で運営する自主的な企画は望ましい。」というような好意的な論評もあったようです。

初め、この展覧会は「画家・彫刻家等の芸術家による共同出資会社」(フランス語:Societe anonyme cooperative d’artisites - peintres, sculpteurs, etc)の展覧会と命名されました。Societe anonymeは現代の株式会社に相当します。

この展覧会には、モネやルノアール、ピサロ、ドガ、セザンヌなどが作品を出品しています。印象派展は以後8回行われました。ではなぜ、資金を出しあってまで展覧会を開いたのかというと、無審査の展覧会を開くためでした。

当時、画家として生計を立てるには、権威のあるサロンで入選することが絶対条件でした。なぜなら、入選した絵しか、高値で売れなかったからです。よって、自分が本当に描きたいものを描き、内容のある作品が出来上がったとしても、サロンの審査員の趣向に合わなければ、入選できず、食べていけません。

そこで、モネ、ルノアール等後に印象派と呼ばれる、サロンでは受け入れられなかった進出気鋭の画家たちは、サロンとは異なる無審査の展覧会を開いて、独自に顧客を開発しようと試みました。


モネにはもう1点ル・アーヴル港の日の出らしきものを描いた絵があるので、下記に示します。


日の出 (Soleil levant)

出典 commons.wikimedia.org Lサイズ (1320×847, 282 KB) XLサイズ (1600×1245, 1832 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1873年
W 262
キャンバスに油彩 49 x 60 cm
J・ポール・ゲティ美術館 ロサンゼルス

実際には、第一回印象派展に、どちらを出したかという証拠がなく、当時の批評等を読んでも、確定的にこちらだと言えるものがありません。

印象派の研究者リウォルドは、著書のなかで、「こちらではないか。」と言っていますが、これも証拠がないので、いくら大家の言ったことでも受 け入れられていません。


ノラム城、日の出 (Norham Castle, Sunrise)

出典 www.tate.org.uk オリジナル (1078×796, 70 KB)

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 1845年
キャンバスに油彩 91 x 122 cm
テイト ロンドン


上記のタナー作「ノラム城、日の出」はモネやルノアール等の印象派の画家達に多大な影響を与えたとされる作品です。

特にモネは1971年(31歳)、普仏戦争の徴兵を逃れてロンドンを訪れた際に、この絵を見て感銘を受けたようです。

ターナーが他界してから10年後に発見された本作は、当時の人々にとってはあまりにも抽象的な作品に映り、完成作なのかどうか判断がつかず、かなりの議論となった逸話がある絵です。

ある意味、モネの「印象、日の出」よりも38年前に描かれているにもかかわらず、よりモダンで斬新な印象を、私達後世の人々には与えます。

この絵をモネが見ていなかったら、もしかすると、現代の絵画史は全く別の物になっていたかもしれません。

2013年3月8日金曜日

アルジャントゥイユの風景画 Ⅲ


アルジャントゥイユの風景画 Ⅱの続きです。

小川のガチョウ (Les Oies dans le ruisseau)

Lサイズ(1060×1280, 358 KB) オリジナル (1242×1500, 2271 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1874年
W 347
キャンバスに油彩 73 x 60 cm
クラーク・アート・インスティテュート ウィリアムズタウン


アルジャントゥイユの野原の並木道 (L'Allée du champ de foire à Argenteuil )

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1874年
W 345
キャンバスに油彩 50 x 61 cm
個人収蔵


アルジャントゥイユの散歩道、日没 (La Promenade d'Argenteuil, soleil couchant)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×958, 1331 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1874年
W 346
キャンバスに油彩 60 x 81 cm
個人収蔵


川沿いの柳 (Le Fleuve aux saules)

オリジナル (512×615, 93 KB)

解像度: ★★☆☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1876年
W 396
キャンバスに油彩 71 x 60 cm
個人収蔵


丸い木、アルジャントゥイユ (L'arbre en boule, Argenteuil)

     クロード・モネ 1876年
     W 397
     キャンバスに油彩 60 x 81 cm
     個人収蔵


出典 www.flickr.com オリジナル(1320×977, 461 KB)

解像度: ★★☆☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

い草の習作 (Etude de joncs)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1876年
W 430
キャンバスに油彩 54 x 65 cm
個人収蔵

ジェヌヴィリエの平原 (La Plaine de Gennevilliers)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×1090, 467 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆

クロード・モネ 1877年
W 437
キャンバスに油彩 50 x 61 cm
個人収蔵


枝を通した春 (Le printemps à travers les branches)

出典 www.flickr.com オリジナル (1320×1073, 658 KB)

解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆

クロード・モネ 1878年
W 455
キャンバスに油彩 52 x 63 cm
マルモッタン美術館 パリ


以上でアルジャントゥイユの風景画のシリーズを終わります。