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2013年3月23日土曜日

「キャプシーヌ大通り」 近代的都市風景


キャプシーヌ大通り (Le Boulevard des Capucines)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×847, 282 KB)

解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★★★ 

クロード・モネ 1873年
W 292
キャンバスに油彩 61 x 80 cm
プーシキン美術館 モスクワ


ナポレオン3世によるパリの大改造によって生まれ変わろうとしているパリの都市景観を「現代性」をテーマに描かれた作品です。

本作はパリのオペラ座付近のキャプシーヌ通りを写真家ナダールのアトリエから俯瞰するという、当時としては斬新な構図で描かれています。

モネとナダールは画家と写真家という立場上、写真技術の普及で職を失う画家が続出する時代背景を考えると、対立関係にあってもおかしかくありませんが、親交があり、「第一回印象派展」もこのアトリエで開かれるほどでした。

気球の操作技術にも通じていたナダールは、パリで世界初の気球による空中撮影を行った人物でもあります。モネがこの俯瞰写真から何らかのインスピレーションを受けて本作を制作した可能性は十分考えられます。

画面右端には同じ建物の同じ階のバルコニー身を乗り出して大通りの様子を傍観する帽子を被った二人の紳士が描かれており、この絵を鑑賞するものが実際にその場に居るような錯覚を起こさせます。

また、画面左側の陽光に照らされ黄金色に輝く建物と並木と、右側の通りを行き交う人々の黒色との対比が作品の魅力を増幅させています。

「印象、日の出」を酷評したルイ・ルロワは本作に対しても、通りを行き交う人々を「無数の黒い涎」と揶揄していますし、また、ある批評家は「驚くべき習作あり、運動の瞬間なるものを描いた。」としながらも、「間近で見ると判読できない絵の具の削りかすの混沌だけが残る。」と、称賛とも批判とも取れる感想を述べています。

しかし、第一回印象派展は全体としては失敗という結果に終わりますが、この展示会を契機に時代は動き、ブルジョワ階級の台頭という時代背景も味方し、徐々に印象派の画家達は世間に認められるようになっていきます。

モネは、もう一つ、同時期に同じ作品名の縦長の作品を残しているので下記に示します。研究者によっては、こちらを第一回印象派展出品作と考えている人も居ます。


キャプシーヌ大通り (Le Boulevard des Capucines)

出典 www.flickr.com Lサイズ(950×1280, 293 KB) オリジナル(1320×1778, 570 KB)

解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★

クロード・モネ 1873年
W 293
キャンバスに油彩 80 x 60 cm
ネルソン・アトキンス美術館 カンザスシティ

また、ピサロも同じような俯瞰の近代的都市風景画の連作を1897年にホテル・ドゥ・ルーヴルの一室を数ヶ月間貸し切って、15作品残しています。

その中から、上記の縦長の作品と雰囲気がよく似た作品で私のお気に入りの作品があるので、下記に示します。


モンマルトル大通り、冬の朝 (Boulevard Montmartre Winter Morning)

Lサイズ (1280×925, 442 KB) オリジナル(3943×2848, 3080 KB)

カミーユ・ピサロ 1897年
キャンバスに油彩 65 x 81 cm
メトロポリタン美術館 ニューヨーク


2012年12月16日日曜日

ブージヴァルの風景画


ブージヴァルはバリ中心から約15kmの西部郊外にある小さな街です。セーヌ川沿いにあり、印象派の画家が創作活動の場として、よく用いました。

モネは、1869年夏、ブージヴァルで制作し、そのすぐ隣りの部落サン=ミシェルの農家で生活していました。


ブージヴァルの橋 (Le Pont de Bougival)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×925, 432 KB) ※ 2013/02/12 更新

クロード・モネ 1870年
W 152
キャンバスに油彩 63 x 91 cm
マンチェスター市立美術館

秋の早朝に、橋を行き交う人々の光景が描かれています。画面左下部のセーヌ川の水の反射の表現には、筆触分割という印象派の技法が顕著が用いられ、全体的にも明るく鮮やかな印象を受ます。早朝のキリッとした爽快感が感じられる、私のとても好きな絵です。


ブージヴァルのセーヌ川の氷片 (Glacons sur la Seine a Bougival )

オリジナル(1512×1200, 625 KB)

クロード・モネ 1868-1869年
W 105
キャンバスに油彩  65 x 81 cm
オルセー美術館 パリ


川の上の雪 (Neige sur la riviere)

     クロード・モネ 1867-1868年
     W 106
     キャンバスに油彩 59 x 73 cm
     個人収蔵
      

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×1073, 421 KB)


ブージヴァルのセーヌ川 (La Seine a Bougival)

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×1027,  413 KB)

クロード・モネ 1869年
W 143
キャンバスに油彩 51 x 65 cm
個人収蔵


木々に覆われた道、雪の効果 (Chemin boise, effet de neige)

オリジナル(1344×1200, 489 KB)

クロード・モネ 1869年
W 144
キャンバスに油彩 58 x 63 cm
個人収蔵


街道、雪の効果、夕日 (Route, effet d'hiver, soleil couchant)

     クロード・モネ 1869年
     W 145
     キャンバスに油彩 43 x 65 cm
     オルセー美術館 パリ
      

出典 www.flickr.com オリジナル(921×597, 117 KB)


ルーヴシエンヌへの道、雪の効果 (Route a Louveciennes, effet de neige)

     クロード・モネ 1870年
     W 147
     キャンバスに油彩 55 x 65 cm
     個人収蔵
      

オリジナル(1238×1024, 345 KB)


ルーヴシエンヌへの道、雪解け、夕日 (Route a Louveciennes, neige fondante, soleil couchant)

オリジナル(2000×1497, 858 KB)

クロード・モネ 1870年
W 148
キャンバスに油彩 40 x 54 cm
個人収蔵


川岸を監視しながら歩く軍人 (Voltigeurs de la garde flanant au bord de l'eau)

     クロード・モネ 1870年
     W 149
     キャンバスに油彩 54 x 65 cm
     
      

出典 www.flickr.com Lサイズ(1280×1051, 260 KB)


ブージヴァルのセーヌ川 (La Seine a Bougival)

     クロード・モネ 1870年
     W 150
     キャンバスに油彩 40 x 73 cm
     個人収蔵
      

出典 www.flickr.com オリジナル(1320×708, 313 KB)


ブージヴァルのセーヌ川、夕方 (La Seine a Bougival, le soir)

オリジナル(1469×1200, 2002 KB)

クロード・モネ 1870年
W 151
キャンバスに油彩 60 x 73 cm
ノーザンプトン美術館


ブージヴァル近くのセーヌ川 (La Seine pres de Bougival)

     クロード・モネ 1872年
     W 236
     キャンバスに油彩 48 x 95 cm
     
      

Lサイズ(1280×623, 377 KB)

この作品には、ほぼ同じ場所から同じ構図で描かれたピサロの絵が存在するので、下記に示します。


ブージヴァルのセーヌ川上のバージ (Barges on the Seine at Bougival)

出典 www.flickr.com オリジナル(1024×702, 174 KB)

カミーユ・ピサロ 1871年
キャンバスに油彩 81 x 100 cm
ノイエ・ピナコテーク ミュンヘン