上記のアルジャントゥイユのヨットを描いた2つの絵を見比べてください。一方がモネ、もう一方がルノアールの作品です。一見すると「同じ絵ではないか。」と思うぐらい、似ています。
「上部上方の作品」
アルジャントゥイユのボート漕ぎ (Les Canotiers à Argenteuil)
クロード・モネ 1874年W 324
キャンバスに油彩 60 x 81 cm
出典 www.flickr.com オリジナル(1042×802, 161 KB)
「上部下方の作品」
アルジャントゥイユのセーヌ川 (La Seine à Argenteuil)
ピエール=オーギュスト・ルノワール 1874年キャンバスに油彩 50 x 65 cm
ポートランド美術館
オリジナル(1124×866, 249 KB)
以前にこのブログで紹介した「ラ・グルヌイエール」の絵も両者の絵は似ていました。今回紹介している2つの絵も同じ時に画架を並べて描いたものですが、ラ・グルヌイエールの絵以上に酷似しています。
私はこの2つの作品は両者が意図的に同じ筆致、色彩、構図で描き、それでもにじみ出てくる両者特有の作風というものを、お互いに確かめ合っているような感じがします。
この2つの絵は平成16年に文化村での展覧会で、並べて展示してあったそうです。その場に居合わせられなかったのがとても残念です。
当時、アルジャントゥイユの近辺は川幅が広く、水深も深かったので、パリ在住のブルジョアが週末の余暇をヨット遊びで過ごす行楽地でした。
ブルジョアが行楽地で余暇を過ごす光景を描くという発想は今まで誰も持っていませんでした。バルビゾン派のミレーが描く、畑で働く農民の崇高な姿とは違う、戸外制作の新しい試みを、モネやルノアールなど印象派と呼ばれる画家達が、この後、試行錯誤して行くことになります。