カミーユ・モネの線描
ほぼ間違いなくモネの描いたデッサンだと言われているものです。
「カミーユに関連するモネの年譜 Ⅰ」
1865年3月 カミーユと知り合い同棲を始める。
1866年4月 パリ郊外のセーヴルに家を借りて住む。この家でカミーユだけをモデルに4人の女達の「庭の女たち」を制作する。
1866年夏 セーヴルを去ってノルマンディーに向かい、サン・タドレスとオンフルールに滞在する。オンフルールではホテル、シュヴァル=ブランに部屋を借りる。
1866年2月 オンフルールを離れ、パリのヴィスコンティ街に住むバジールの所に、ルノアールと共にしばらく身を寄せる。
1867年8月8日 カミーユが第一子の長男ジャンを生む。しかし、モネは生活費を切り詰めるために、カミーユとジャンをパリに残し、一人サン・タドレスの叔母の家に滞在していた。
1868年5月 パリ郊外のベンヌクールに部屋を借り 、カミーユとジャンと共に落ち着く。
1869年夏 カミーユ、ジャンと共にノルマンディーのフェカンに行き、制作する。
1869年4月 モネを支援していたルカードル伯母との関係が悪化し、パリに戻る。
1869年夏 ブージヴァルで制作し、そのすぐ隣りの小さな部落サン=ミシェルの農家で生活する。
1869年秋 エトルタ、ル・アーヴルに出かけ、サン・ミッシェルのカミーユのもとに戻る。両親は頑なに援助を拒み続けている。
1870年6月26日 カミーユと正式に結婚。4人の立会人の中にはクールベの姿もあった。
1870年9月 ブーダンにカミーユに託し、モネは徴兵を逃れてロンドンに発つ。
1871年秋 パリに戻る。
1872年秋 マネの援助で、アルジャントゥイユの小さな家に移る。
カミーユと小さな犬 (Camille au petit chien)
解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆
クロード・モネ 1866年
W 64
キャンバスに油彩 73 x 54 cm
個人収蔵
緑衣の女性 (La Femme a la robe verte)
解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆
クロード・モネ 1866年
W 65
キャンバスに油彩 231 x 151 cm
ハンブルグ市立美術館
「草上の昼食」の制作がサロンへの出品に間に合わず、急遽、当時交際中だったカミーユをモデルに、わずか4日間で制作され、サロンで入選を果たした作品です。
「草上の昼食」は、ピクニックに興じる人々を460 x 600 cmという大キャンバスに大胆なタッチで描き、戸外の光を生かして、人々の闊達な情景を描こうとした意欲作でした。
しかし、本作は、髪飾りを気にして後ろを振り返る自然な仕草や、細部まで緻密に描きこまれたドレスの質感が評価され入選しています。
今までにない新しい表現技法で大作を発表し、人々の注目を浴びて成功を収めようとするも、間に合わないと見るや、急場しのぎでサロン入選する作品を描いてしまうモネには感服してしまいます。
庭の女たち (Femmes au jardin)
解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆
クロード・モネ 1866年
W 67
キャンバスに油彩 256 x 208 cm
オルセー美術館 パリ
モネは再び、戸外制作における人物画の新しい試みとして、流行の衣装をまとった4人の少女たちが庭で楽しそうに戯れている様子を描きました。
ほぼ同じ構想で描かれ未完に終わった「草上の昼食」は、あまりにもサイズが大きかったため、スケッチを戸外で描いて、アトリエで描き直していましたが、本作は終始一貫して戸外で描いています。
それでも縦が2メートル以上もある大作なので、上部は地面に穴を掘り、滑車で吊るして描いたようです。また、光に徹底的に拘り、太陽が雲に隠れている間は断固として筆を入れず、それは背景を描く時でさえも徹底していました。
また、この絵には斬新な手法が多数見うけられます。影にも決して完全な黒は用いていません。木漏れ日など、筆触分割が多用されています。日傘をさしている女性の顔は、衣装から反射した光で青白く塗られている部分がありますが、顔に班をつけることは従来の常識から外れています。
半年がかりで制作し、意気揚々とサロンに出品したであろうこの作品は落選してしまいます。とても華やかな魅力的な絵ではありますが、現在でも、あまり評価が高くありません。
4人の女性のモデルすべてをカミーユが務めているため、さすがのモネでも、絵に統一感を持たせることに完全に成功できていないようです。
サロンで落選し、困窮したモネを見かねたバジールは2,500フランという高額でこの絵を購入し、月々50フランの分割払いで支払うことを約束し、同志を援助しました。
午餐 (Le Dejeuner)
解像度: ★★★☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆
クロード・モネ 1868 年
W 132
キャンバスに油彩 230 x 150 cm
シュテーデル美術館 フランクフルト
トゥルーヴィルの浜辺で (Sur la Plage de Trouville)
クロード・モネ 1870年W 158
キャンバスに油彩 38 x 46 cm
ナショナル・ギャラリー ロンドン
Lサイズ(1280×1042, 294 KB) オリジナル(1630×1327, 225 KB)
解像度: ★★☆☆☆ おすすめ度: ★★☆☆☆
トゥルーヴィルの浜辺に座ったカミーユ (Camille assise sur la plage a Trouville)
クロード・モネ 1870年
W 159
キャンバスに油彩 45 x 36 cm
解像度: ★★☆☆☆ おすすめ度: ★★★☆☆
トゥルーヴィルの浜辺のカミーユ (Camille sur la plage de Trouville)
クロード・モネ 1870年W 160
キャンバスに油彩 38 x 47 cm
Lサイズ(1280×1051, 346 KB) オリジナル(1800×1478, 820 KB)
解像度: ★★☆☆☆ おすすめ度: ★★☆☆☆
浜辺のカミーユ (Camille sur la plage)
クロード・モネ 1870年W 161
キャンバスに油彩 30 x 15 cm
オリジナル(498×1035, 175 KB)
解像度: ★☆☆☆☆ おすすめ度: ★☆☆☆☆
読書 (La Liseuse)
解像度: ★★★★★ おすすめ度: ★★★★★
クロード・モネ 1872年
W 205
キャンバスに油彩 50 x 65 cm
ウォルターズ美術館 ボルチモア
この習作の主題は読書をしている女性をうまく描くことではなく、「木漏れ日を絵の具を混ぜずに軽く叩く手法をもちいて、いかに表現するか。」にあります。
赤い頭巾、モネ夫人の肖像 (La Capeline rouge, portrait de Madame Monet)
解像度: ★★★★☆ おすすめ度: ★★★★☆
クロード・モネ 1872年
W 257
キャンバスに油彩 100 x 80
クリーブランド美術館
この作品でまず視線が行くのが、カミーユが身に着ける鮮やかな赤い頭巾と外套です。そして、雪の降りしきる中、カミーユが憂いのある表情で屋内に視線向けていることに気づき、「何かあったんだろうか。」と心配になります。
本作はモネが生涯手放さなかった作品の一つだということもあり、「この時期、二人の関係に何か異変があったのではないか。」とつい勘ぐってしまいます。
カミーユ(モネ夫人)がモデルの人物画 Ⅱに続きます。